2023/10/19

【腸活BOOK vol.1】
腸の基礎・知識編

実は食べ物の消化・吸収だけじゃない!腸は免疫・神経にとって大切な器官。

POINT-1 腸は実質体の外側。免疫細胞が外敵と闘う最前線

食べ物を消化・吸収することで知られる腸。しかし、働きはそれだけではありません。ウイルスや細菌が体内に侵入すると、腸の免疫細胞が察知し、抗菌物質を分泌して撃退。腸には全身の免疫細胞の約6割が集まっており、強力な免疫器官でもあるのです。この免疫細胞は腸内細菌によって活性化するため、腸活が注目されています。

免疫力を維持する善玉菌があるのもこのため

善玉菌にはさまざまな種類がありますが、単に整腸だけでなく、免疫力を維持する効能があるのは、腸に届いてその免疫細胞の働きを助けたりするため。健やかな毎日に欠かせない菌と言われています。

POINT-2 第二の脳と言われるほど神経が集中し、脳やストレスとも密接に関係

自ら動きをコントロールして、24時間休むことなく働き続ける腸。約1億個もの神経細胞があり、「第二の脳」と呼ばれています。腸と脳は、迷走神経(副交感神経)でつながっており、互いに影響しあう「脳腸相関」の関係にあります。ストレスを感じると、その情報が伝わり、腸の働きに異常が起こることもあるのです。

旅行中の便秘も脳腸相関のせい

旅行に行った時に、便秘になりがちではありませんか?これは慣れない環境によるストレスが脳から腸に伝わり、腸の働きが抑えられてしまうから。大事なプレゼンの前に下痢をしてしまうのも同じメカニズムです。

腸の環境を左右するのが…「腸内フローラ」という腸内細菌の集まり

腸内に生息する腸内細菌の数は、約100兆個。さまざまな種類の細菌が、びっしりと腸壁を埋め尽くす様子が花畑(フローラ)のように見えることから、腸内フローラと呼ばれています。腸内細菌は、腸に入ってきた食べ物を分解。人が吸収しやすい栄養素に変えてくれます。

現代的な食生活が健全な腸内フローラの大敵…

添加物が含まれた食品や、栄養に偏りのあるファストフードなどは、腸内フローラの多様性を失わせる原因に。現に、先住民など文明にあまり触れていない人々ほど、多様性が高いことが報告されています。

大切な腸をしっかり機能させるために…
腸内環境を整える日頃の「腸活」が大切です!

医学博士 江田先生よりひとこと

腸の健康は、体のあらゆるところ の健康につながります。

脳腸相関をはじめ、腸は体のあらゆる器官と神経でつながっているとても大切な臓器。腸を健康に保つことで、うつや肥満、アレルギーなどの不調が改善されたという患者さんを多くみます。この腸活BOOKをきっかけに腸を少しでも意識して健康に役立てていただければ幸いです。ただ最新の研究で、過度の腸活によりSIBOという腸内細菌が逆に増えすぎてしまう病気も。自分にあった腸活を見つけながら、無理なく試していただき、不調が続いてしまう場合は医師に相談してみてください。

医学博士江田証先生の顔写真

江田クリニック院長。自治医科大学大学院医学研究科修了。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。米国消化器病学会(AGA)インターナショナルメンバーを務める。国内外から訪れる多くの患者さんの診察にあたるスーパードクター。メディアにも出演し、わかりやすい解説が好評。近著『腸内細菌の逆襲』(幻冬舎)をはじめ、多数の著書がある。

<監修>医学博士 江田 証先生