乳酸菌:ラクトバシラス・プランタラム、ペディオコッカス・アシディラクティシのサムネイル画像

過敏性腸症候群に伴うQOL低下を改善

Lactobacillus plantarum KABP-022 & KABP-023,Pediococcus acidilactici KABP-021

乳酸菌:ラクトバシラス・プランタラム、ペディオコッカス・アシディラクティシ

現代の生活習慣の影響が少ない(=腸内フローラの多様性が高い)ヒト由来の乳酸菌ミックス(L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021 )。
スペインの乳酸菌企業「AB-Biotics S.A.」が保有するプロバイオティクス(※1)です。
過敏性腸症候群に伴うQoLの低下の改善が報告されています。

腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態を「過敏性腸症候群 (IBS, Irritable Bowel Syndrome) 」と呼びます。過敏性腸症候群に悩む方は1700万人を超え、特に中高生を始めとした若い世代に増加傾向です。過敏性腸症候群は、便の形状と頻度から「便秘型」、「下痢型」、「混合型」、「分類不能型」の4つの型に分けられます。過敏性腸症候群の明確な発症原因は解明されておりませんが、近年、腸内フローラが病気の発症や進行に関わる可能性が報告されています。

過敏性腸症候群(下痢型)方は、腸管の透過性や感受性が亢進しています。

食物の消化・吸収を担う腸では、食物と共に摂取された外部からの細菌が、腸内の栄養豊富な環境に定着、増殖し、腸には約100兆個の細菌(腸内細菌と呼ぶ)が生息していると言われています。腸は栄養を腸壁内に吸収する一方で、腸内細菌を腸壁内(組織内)に侵入させないよう厳密にコントロールしており、その制御機構を「粘膜バリア」と呼びます。
過敏性腸症候群(下痢型)の方は粘膜バリアに異常をきたし、腸管の透過性が亢進しています。感染症や慢性的なストレス、また食事の影響を受け、腸内フローラの多様性(種類・数)が減少し、粘膜バリアの構築を助ける物質の量が減少したり、粘液(ムチン層)を分解する腸内細菌が増加することで、粘膜バリアが破綻してしまうのです。また、過敏性腸症候群の方は腸管の感受性も亢進しています。メカニズムは解明されておりませんが、特定の腸内細菌の存在量が変化したことにより、腸内の水素と硫化物の量が増えたためだと言われています。
このような過敏性腸症候群の方の腸管異常で起こる腹痛や不快感は一時的なもので、生命が脅かされるような病態ではないものの、人々のQoLを極端に低下させます。

乳酸菌ミックスの摂取により、過敏性腸症候群の方のQoLが改善しました。

下痢型のIBSと診断された方(Roma Ⅳ診断基準)84名にプロバイオティクス「乳酸菌ミックス( L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021 )」を摂取いただきました。IBSの疾患特異的なQoL尺度の一つであるIBS-QoLに回答いただいたところ、試験群でQoLスコアが有意に改善しました。

実験内容

対象

20-70才の下痢型IBSの患者、84人

実験方法
ランダム化プラセボ対照二重盲検
群構成

グループ①(乳酸菌ミックス高用量):
プロバイオティクス摂取群/乳酸菌ミックス( L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021)を1-3×1010 CFU※(=100-300億個) 含むカプセルを摂取した群(n=28)
グループ②(乳酸菌ミックス低用量):
プラセボ摂取群/乳酸菌ミックス(L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021)を3-6×109 CFU※(=30-60億個) 含まないプラセボカプセルを摂取した群(n=27)
グループ③:
プラセボ摂取群/乳酸菌ミックス(L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021)を含まないプラセボカプセルを摂取した群(n=29)

方法

乳酸菌ミックス( L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021)を1-3×1010 CFU※(=100-300億個) 含むカプセル、または3-6×109 CFU ※(=30-60億個)含むカプセル、またはプラセボカプセルを6週間の間、毎日摂取いただき、6週後のIBS-QoLスコアを評価しました。

※CFU:増殖可能な菌の数を表す単位
※プラセボ:色、重さ、味及び匂いなど物理的特性を可能な限り被験薬に似せ、かつ薬効成分を含まない「偽薬」

Lorenzo-Zuniga, Vicente, et al., World J Gastroenterol 20.26 (2014)

「乳酸菌ミックス(L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021)」は、複数のメカニズムに基づき選抜しています。

「乳酸菌」にはたくさんの種類がありますが、すべての乳酸菌がIBSのQoL改善に効果があるわけではありません。「乳酸菌ミックス」は腸壁の透過性を下げるメカニズムに注目し、独自の3菌株 L. plantarum KABP-022 & KABP-023, P. acidilactici KABP-021を採用しています。これらの乳酸菌はヒト由来で、胃腸内環境でも生存し、生着することが確認されています。(※2)。

※2 ヒトや動物の組織を用いて、人の体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出する実験系にて確認

特徴1 腸壁の透過性を亢進させる病原微生物の増殖を抑制する。

グラム陰性細菌が出す毒素(LPS)は腸壁のタイトジャンクションを損傷させ、腸壁の透過性を亢進することが知られています。乳酸菌ミックスに含まれる乳酸菌はグラム陰性細菌の増殖を抑制する働きが高いです。

特徴2 抗炎症作用のある短鎖脂肪酸を産生する。

乳酸菌ミックスが産生する短鎖脂肪酸には酢酸・プロピオン酸・酪酸の3種類があり、免疫系やシグナル伝達機構を介して、抗炎症反応を示します。また、酢酸は腸壁に働きかけ、粘液の分泌を促進させます。

特徴3 腸管バリア機能を強化させるポリリン酸を産生する。

乳酸菌が作り出すポリリン酸は腸壁に作用して、タイトジャンクションを強化し、腸壁の透過性を下げます。乳酸菌ミックスに含まれる乳酸菌はポリリン酸を高生産します。