2023/10/20

【腸活BOOK vol.2】
食事と食生活編

食生活から腸活を行うカギ、それは…腸内フローラを構成する3種類の菌

【善玉菌(ぜんだまきん)】…読んで字の如く腸にとって良い菌。
腸の運動を促し、腸内環境を良好に保つ。

【日和見菌(ひよりみきん)】…全体の7割をしめる菌。善玉菌、悪玉菌、
どちらか多い方に味方をする菌。

【悪玉菌(あくだまきん)】…毒素を出すなど、腸にとって有害な菌。
増えるとより悪影響を及ぼす。

腸内フローラが良い状態=善玉菌が優位な状態!

善玉菌と悪玉菌の理想的なバランスは2:1。善玉菌が優位な時、日和見菌は善玉菌の味方につくため、腸内フローラは良好で消化・吸収力や免疫力もアップ。反対に悪玉菌が優位になると、日和見菌は悪玉側となり腸内フローラが悪化。便秘や肌荒れ、病気の原因にもなります。なので今回は善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす食習慣をご紹介します。

1 腸がよろこぶ4大食品を食べる

納豆菌や麹菌など発酵食品に含まれる菌は、腸で善玉菌を活性化させるほか、体内でそのまま善玉菌として働く菌も。善玉菌が優位になると、腸内は悪玉菌が増殖しにくい酸性になります。

水溶性食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増加させます。さらに、善玉菌が食物繊維を分解する時にできる短鎖脂肪酸が腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑え、腸内フローラを整えます。

オリゴ糖もまた善玉菌のエサとなる成分です。悪玉菌のエサにはならず、善玉菌だけを増やします。ヨーグルトと一緒に食べるのがおすすめで、善玉菌とそのエサを同時に食べることになり効率的です。

健康に欠かせない成分として有名な、青魚に含まれるEPAやDHA。実は、腸にとっても有効で、炎症を抑え、善玉菌が増えやすい環境を整えます。また、腸内で潤滑油となり、便の通りをスムーズにします。

2 1日に摂る食品のバリエーションを増やす

良好な腸内フローラには、菌の多様性も重要です。さまざまな食品を摂り、善玉菌に多彩なエサを与えて、菌の種類を増やしましょう。食品によっては悪玉菌を抑える働きもあり、善玉菌増加に有効です。

3 よく噛んで食べる

よく噛むと食べ物が細かくなり、消化・吸収しやすくなって腸の負担が減少。腸の老化防止につながります。また噛むことで、唾液が多く分泌されてさらに消化がよくなるほか、食べ過ぎも防ぎます。

4 食後4時間は間食を控える

腸には、腸に残ったカスや悪玉菌を掃除する働き=MMC(伝播性消化管収縮運動)があります。MMCのスタートは食後4時間後。それまでに新たに食べるとMMCはストップするため、何も食べない時間を設けるようにしましょう。

5 食前に歯磨きをする

口の中には多くの細菌が生息し、なかには、食べ物と一緒に腸に入り、ガスを作ったり、腸内フローラを悪化させたりする菌も。菌の侵入を防ぐには、歯磨きが重要。お腹の張りが気になる方は、ぜひ食前の歯磨きを試してください。

医学博士 江田先生よりひとこと

腸活の基本、食生活。まずは今の食習慣を振り返ってみましょう。

腸活の中でも、最も結果につながりやすい食習慣の見直し。SIBOという腸内細菌が増えすぎてしまう病気があるように、体質によっては過度な腸活が逆効果になる場合も。後の号では腸の状態の調べ方などもお伝えしますので、腸の状態に耳を傾けながら、無理なく少しずつが合言葉です。

医学博士江田証先生の顔写真

江田クリニック院長。自治医科大学大学院医学研究科修了。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。米国消化器病学会(AGA)インターナショナルメンバーを務める。国内外から訪れる多くの患者さんの診察にあたるスーパードクター。メディアにも出演し、わかりやすい解説が好評。近著『腸内細菌の逆襲』(幻冬舎)をはじめ、多数の著書がある。

<監修>医学博士 江田 証先生