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2024.09.04
肌荒れとは、肌の表面がなめらかさを失い、カサつき、ゴワつきなどの肌トラブルが表れた状態です。他にも肌の不調として、洗顔後につっぱり感が出て、白い粉が吹いたり、ニキビや吹き出物、湿疹、かゆみなどが表れたりすることがあります。特に乾燥肌の方は季節の変わり目にこれらの悩みが増えることが多いでしょう。本記事では、肌荒れの主な原因と改善方法、注意点について解説します。
肌荒れの原因を理解し、自分の肌状態に合わせて対策するには、何が肌トラブルを引き起こしているのかを正確に把握することが大切です。
ターンオーバーとは、肌を構成する細胞が新しく生まれ変わる仕組みを指す言葉です。細胞が代謝によって入れ替わる、つまり細胞が肌の内部で生まれてから、垢となって剥がれ落ちるまでの期間は約28日とされていますが、年齢とともに長くなることが知られています。ターンオーバーが乱れると、肌のキメの悪化や、後述するバリア機能の低下等の問題を引き起こします。ターンオーバーの乱れは主に加齢、不規則な生活、紫外線、ストレス、肌の乾燥、「ゴシゴシ洗い」などの間違ったスキンケアなどが原因で起こると言われています。
人間の肌は大きく分けて「表皮」「真皮」「皮下組織」という3つの構造でできています。また、表皮自体も複数の層が積み重なってできており、そのうち最も外側の層である角層が肌のバリア機能に関わっています。
角層は天然保湿因子などを含む「角層細胞」と、セラミドなどの「細胞間脂質」から主に構成されています。バリア機能は、肌を外部刺激から守るだけでなく、肌内部の水分を保持し、みずみずしくうるおいのある状態を保つ役割も果たしています。しかし、このバリア機能が低下すると、水分保持ができなくなり乾燥が進んだり、外部刺激に弱くなったりして肌荒れが起きやすくなります。
バリア機能低下の原因には、強すぎるクレンジングや熱いお湯での洗顔といった不適切なスキンケア、肌の乾燥、紫外線、加齢によるセラミドの減少、ターンオーバーの乱れ、ストレスなどがあると言われています。さらに、マスク着用時の摩擦も肌の乾燥に繋がります。
女性では、生理周期による女性ホルモンの変動も肌状態に大きく影響します。例えば、女性ホルモンのエストロゲンの一種であるエストラジオールは、肌の潤いやハリを保ち、コラーゲン合成をサポートします。同じく女性ホルモンのプロゲステロンは皮脂分泌を促進しますが、生理前にはプロゲステロンの影響で皮脂が過剰に分泌されてしまい、ニキビができやすくなるとする説もあります。
日々の生活習慣も肌状態に大きな影響を及ぼします。睡眠中に分泌される成長ホルモンは肌の修復に関係すると考えられており、実際に、睡眠が不足することで肌の機能が低下することが知られています。また、栄養バランスの偏りによりタンパク質、脂質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEといった、肌の健康に必要な栄養素が不足すると肌荒れにつながります。
腸内環境の悪化は肌の状態に影響するため、便秘も肌荒れの原因になることがあります。これは腸内環境の健康が肌状態に大きく影響する「腸皮膚相関」と呼ばれる関係性によるものです。
肌は身体の最も外側にある臓器であり、体調や栄養状態がそのまま表面に現れます。そのため肌荒れを改善するためには、「外側からのケア」と「内側からのケア」の両方のアプローチが大切です。
洗顔は汗や皮脂、古い角質、汚れを落とし、肌を清潔に保つ役割を果たします。クレンジングは肌に負担をかけない製品を選び、メイクをしっかり落としましょう。洗顔料はしっかり泡立て、優しく洗い、ゴシゴシとこすらないよう注意します。熱いお湯は必要な皮脂まで奪ってしまうため36~38℃のぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。洗顔後は清潔なタオルで押さえるように水分を拭き取ります。
洗顔料は低刺激性で敏感肌向けのものを選ぶと安心です。乾燥肌の方にはミルクタイプや泡タイプの洗顔料、ニキビがある場合はノンコメドジェニックテスト済みの製品がおすすめです。
保湿は肌に水分と油分を補い、バリア機能をサポートします。洗顔後は、すぐに保湿ケアを始めるよう意識しましょう。化粧水で水分補給した後、美容液、乳液やクリームで水分を閉じ込めます。乾燥が気になる部分には重ね付けすると効果的です。
保湿用の製品に関しては、細胞間脂質の主成分としてバリア機能を回復させるはたらきを持つセラミドが入ったものを選びましょう。また、ヒアルロン酸ナトリウムはしっとり感を与え、アミノ酸は天然保湿因子の構成成分として水分保持を助けます。赤みやかゆみがある場合は、抗炎症成分を含む製品も有効です。肌タイプや季節に合わせて、使用する化粧水、美容液、乳液、クリームを選ぶことがポイントです。
肌の健康には多様な栄養素を含むバランスの良い食事が欠かせません。タンパク質は肌細胞の主要構成成分で、肉類、魚介類、大豆製品から摂取できます。ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に役立ち、レバーやにんじんに豊富です。抗酸化作用※のあるビタミンC(のりや赤ピーマンなど)やビタミンE(アーモンドや植物油脂類など)も肌の健康には重要で、特にビタミンCはコラーゲン生成を促します。また、必須脂肪酸を含む魚やナッツ類などの脂質や、腸内環境を整えるきのこ類、海藻類などの食物繊維も積極的に摂りましょう。
※抗酸化作用:体内で発生する活性酸素を消去する働きのこと。活性酸素やフリーラジカルは毒物やウイルスなどを分解するために必要ですが、増えすぎると正常な細胞まで攻撃するため、老化や病気を引き起こしてしまいます。
必要な栄養素が食事だけで足りないのであれば、サプリメントを活用するのも1つの方法です。特に肌の健康に重要なビタミンAやビタミンC、食物繊維などを意識的に摂ると良いでしょう。加えて還元型コエンザイムQ10は抗酸化作用をもち、肌のターンオーバーの改善や水分量増加に効果があるとの研究結果もあります。肌のターンオーバーの改善について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
腸内環境の健康が肌状態に大きく影響する「腸皮膚相関」と呼ばれる関係性によって、便秘による腸内環境の悪化が肌荒れにつながる可能性があります。一方で、腸内環境のバランスを整えることは、肌の健康維持に役立つ効果が期待できます。
質の良い睡眠は肌の修復と再生に重要です。睡眠中は成長ホルモンの分泌が活発になりますが、成長ホルモンは肌のターンオーバーを促進します。睡眠の質を高めるために、毎日同じ時間に寝起きし、就寝前のカフェイン・アルコール・スマホのブルーライトを避け、温度、湿度、光、音など寝室の環境を整えましょう。また、日中の適度な運動も良質な睡眠につながります。
肌荒れが起きている時期は、肌が敏感になり外部からの刺激に弱くなっています。食生活、スキンケア、紫外線対策など、いくつかの重要なポイントに注意して肌に余計な負担をかけないようにしましょう。
過剰な油分・糖分や刺激物は皮脂分泌を促進し、炎症を助長する可能性があります。肌の調子が悪いとき、例えばニキビや吹き出物がある場合などは、揚げ物、スナック菓子、甘いお菓子、香辛料の多い食べ物は控えめにしましょう。代わりにビタミンを豊富に含む色の濃い野菜や果物などを積極的に摂ると良いでしょう。
肌荒れ時は肌が敏感になっているため、普段問題なく使っているスキンケア製品でも刺激を感じることがあります。この時期は「敏感肌用」「低刺激性」の製品を選び、使用する点数を減らして肌への負担を最小限に抑えましょう。
紫外線は肌荒れを悪化させる大きな要因です。肌のバリア機能を低下させ、肌荒れを引き起こすため、年間を通じた対策が必要です。SPFは日焼けや紅斑の原因となるUVBから、PAはシワやシミの原因になるUVAから肌を守る指標です。
日常生活ではSPF15~30、PA++やPA+、屋外での活動時はSPF50や、PA++++の製品を選びましょう。肌荒れ時は低刺激の日焼け止めを使い、適量を定期的に塗り直すことが重要です。肌荒れがひどいときは日焼け止めを塗らず、治療することも大切です。
肌荒れを防ぐには、日々の予防がとても重要です。本記事で取り上げた以下のようなポイントを意識して、健やかな肌を保ちましょう。
バランスの取れた食事で肌を作る栄養素をしっかり摂取し、特に肌の健康を助けるビタミンを野菜や果物などから摂取するよう心がけましょう。
質の良い睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、肌の修復と再生を助けます。さらに、適切なスキンケアによって肌を清潔に保ち、保湿によってバリア機能を守りましょう。特に洗顔後はすぐに保湿を行い、水分と油分のバランスを整えることが重要です。
紫外線は肌へダメージを与えるため、紫外線対策は年間を通して欠かさないことが大切です。また、ストレスも肌荒れの原因となるため、自分に合ったリラックス法を見つけましょう。
肌荒れの予防と改善には、外側からのスキンケアと内側からのケアの両方が不可欠です。自分の肌状態を意識し、適切なケアを続けることで、健やかで美しい肌を目指しましょう。