
2023.10.25
2020年の初めに感染が拡大したコロナウイルスによって日常生活が劇的に変化しました。
在宅勤務、時間差通勤を取り入れた方も多かったと思いますが、それでも通勤、通学、買い物と外へ出かけざるを得ない場面はあったと思います。
そんな時、ウイルス感染は気になりますよね。
コロナウイルスに限らず、インフルエンザウイルスでも毎年多くの方が亡くなっています。
その一方で軽症で済む方もいます。
本コラムではこの違いについて、ご紹介していきたいと思います。
まず初めに、細菌やウイルスへの防御反応を『免疫』と言います。
この免疫機能は加齢とともに低下することが分かっています。
これを『免疫老化』と言います。
事実、インフルエンザで亡くなる方は50代以降で増加して、70代の死亡率は全年齢平均の2.8倍になるそうです。
だからこそ、免疫への対策が必要です。
加齢とともに免疫が衰える『免疫老化』の鍵は、免疫細胞でエネルギーを作っている『ミトコンドリア』でした※1 。
若いころは風邪をひいても直ぐに治ったのが、加齢とともに治りにくくなってきたと感じることはありませんか?
そこで、ミトコンドリアを元気にする方法を紹介いたします!
人間は異物や細菌・ウイルスなどの病原体にさらされ感染してしまったときに、防御しようとします。
この防御システムが『免疫』です。
NK細胞、B細胞、T細胞…など、免疫に関するワードを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらの免疫を担う細胞が働くためにはエネルギーが必要で、そのエネルギーを作っているのがミトコンドリアなのです※1 。
ということは免疫細胞にとって、ミトコンドリアがどれだけエネルギーを作れるかが大事だということですね。
ミトコンドリアを元気にする成分
それは還元型コエンザイムQ10です。
還元型コエンザイムQ10はミトコンドリアでのエネルギー生産に必須の成分であり、エネルギー生産の際に生じる活性酸素によるミトコンドリアへの障害を軽減することが明らかになっています※2,3 。
しかし、還元型コエンザイムQ10の体内の量は加齢とともに少なくなることが分かっています。
最後にコエンザイムQ10の免疫機能に関する研究結果をご紹介します。
マウスを用いた実験では、インフルエンザウイルス感染前に還元型コエンザイムQ10を与えるとインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が確認されました。
ヒトでの臨床研究では1か月に渡って、コエンザイムQ10を1日に200㎎摂取したところ、免疫細胞の一種であるヘルパーT細胞が増加したという報告があります※1。
つまり、これらの研究結果はコエンザイムQ10がヒトでも免疫機能を向上する可能性があることを示唆するものです。『免疫老化』対策素材として、今後もコエンザイムQ10に着目していきます。
ミトコンドリアの量と質を上げることは、免疫細胞の機能を支え、ひいては日々の健康を支えることに繋がります。手洗い、うがいに続くウイルス対策として還元型コエンザイムQ10を取り入れてみてはいかがでしょうか。
※1 森下竜一「防げ!免疫老化 免疫の鍵はミトコンドリア」(エスクリエート)
※2 Tian G et al (2014) Antioxidants & Redox Signaling 20(16):2606-2620
※3 Pérez-Sánchez C et al (2017) Arterioscler Thromb Vasc Biol 37:1923-1932